Endless SHOCK -Eternal-を初めて観た話

ミュージカルの観劇経験は多くない。そもそも舞台もそこまで観たことはない。当時の自軍の子たちが主演した舞台を何本か見たくらい…それも外部舞台で、いわゆるジャニーズ舞台と呼ばれるものにはこれまで縁がなく、一度も行ったことがなかった。

 

異動したての仕事と家の引っ越しに追われていた今年の5月。SHOCKのチケットを取った3月の時点では、5月末なら余裕だと思っていたのが嘘みたいに追い詰められていた。新居の引き渡しが1ヶ月早まったのだ。完全にやばい。忙しすぎて私の脳内は一気に仕事と引っ越しで埋め尽くされた。

SNSをチェックする暇もなくバタバタと日にちが過ぎていったときに目にしたのは、休演のお知らせだった。サッと血の気が引いた。この世の中において、当たり前に開く幕はないのだと痛感させられるお知らせだった。

どれくらい休演するのだろうか。カンパニーは大丈夫なのだろうか、そして私はSHOCKを観劇することはできるのだろうか?でも忙しさのあまり、そのことで落ち込んでる暇もなかった。

行けなかったら行けなかったでしょうがない、とさえ思った。この時の私は既に光一くんに失恋済みであったし、まだ光一くんは自担ではなかった。でも、観れるもんなら観たいという気持ちは本物で、とりあえずEndless SHOCK公式インスタグラムの通知だけはONにしておいたことを覚えている。

 

運がよく、私が持っていたチケットは休演明け1発目の公演だった。初めての帝国劇場。幾度となく名前を聞いてきたけれど、決して立ち寄ることのなかった場所だった。赤い絨毯を目にした瞬間、本当に私は帝劇に来たという実感が込み上げてきた。神聖な場所に足を踏み入れた気がした。

席は2階だった。入ると劇場独特の香りに包まれた。ステージの周りの舞台セットには、ニューヨークを思わせるビルたちが描かれていた。

…SHOCKってこんな洋風な話だったっけ?いやでもなんかニューヨークっぽい画をWSとかで見たことある気がする。じゃあよく見る殺陣のシーンはなんなんだ?突然の日本?

基本的になんでもネタバレを見ない方が楽しめる精神で、私は一切ストーリーについてや演出のネタバレを見てなかった。あるのは、ジャニオタというだけで自然と目にした薄い知識のみだった。

開演が近づくと突然携帯が繋がらなくなって、軽くパニックになった。携帯が壊れたのかと死ぬほど不安になったが、どうやら劇場の仕様の妨害電波だったと知ったのは終演後だった。劇場に行かなすぎてこんなことまで新鮮に驚いてしまう…最近の劇場すごい…。

 

幕が開いた。まず、生のオーケストラに驚いたのは覚えている。オケピがあったことすら気付かなかった。普段ほぼほぼドームにしか行かないので、小さな劇場で聴くオーケストラに圧倒された。眩しいほどの照明、華やかな衣装、そして出演者。初めて目にする世界で、あまりにも多くの情報量と湧き出る感情に脳内がパンクした。

そんな中でもギリギリ記憶にあるシーンがいくつかある。まず覚えてるのが、車が宙に飛んだこと。あの衝撃は忘れられない。えっ、車飛んでるんですけど?!と思わず前のめりになりそうなくらいだったが我慢した。え?車が飛んでる?どうなってんの??すごくない??

衝撃のあまり周りを見渡したが、そこまでみんな驚いていないようで洗礼を受けた気がした。SHOCKくらいになると車も飛ぶのか…と無理やり自分を納得させたが、まぁなんで飛んでいたのかは特にわからなかった。

 

そして殺陣のシーン。どうやらこの殺陣のシーンは突然の日本(?)ではなく、ショーの一部ということがなんとなくわかった。目で追うのがギリギリくらいの速さで動き回る演者たちに釘付けになっていたら、いつの間にかコウイチが血だらけになっていた。

え…?なんで?殺陣でしょ?なんで血だらけ?何が起きた?気が付いたら名物の長い階段も出てきていた。血だらけのままコウイチが階段から落ちて1幕が終わった。

え…?もしかしなくても…コウイチ死んだんじゃない…?

いやでも待って、なんか何年か前に死んだみたいなことコウイチ自身が言っていたけどここで死ぬの…?階段落ちのシーンは有名で見たことはあったけれど、死ぬとは思ってなかった。ていうかそもそもあんな血だらけだったか?え?コウイチ死んだ?!

幕間になったのにその場からすぐに動けないくらいに放心状態だった。脳内がとっ散らかっている。動揺してる人を探すようにあたりを見渡したが、そんな人は1人もいないように感じた。車が飛んだときと同じだ。「もしかしてコウイチが死ぬのを知らなかったのは私だけだったんじゃないか…?」と思えるレベルで、さすがにネタバレを検索せざるを得なかった。

どうやらショウリ(ライバル役)が殺陣の剣を本物の剣にすり替えて刺してしまったことを知り、先ほどの謎がやっと解けた。え…いや、全然わかんなかった。観てたはずなのに。私は何を観ていたんだろう?今すぐ私に双眼鏡を持ってきてくれ。

それにしてもそんな話だったとは知らなかった。華やかな世界の話じゃなかったのか。いや華やかな世界の話ということには間違いないんだけど。人が1人死んでる!!人が1人殺されてる!!!

 

少し頭を整理できた状態で迎えた2幕。リボンフライングは、階段落ちの次によく目にしていた場面だった。命綱がないことは知っていたが、実際に飛んでいるとこを見ると「嘘だろ」とシンプルに思った。力強さと儚さと美しさと哀しさと、いろんなものが一気に襲ってきて感情がぐちゃぐちゃになった。

 

その後の「夜の海」も印象的だった。昔関ジャムでジャニーさんに「こんな暗い曲で終わるなんてYOU最悪だよ!」って言われたけれど押し切った、という話を覚えていて、これがその曲かぁと思った。

赤くキラキラした、着物のようなそうじゃないような、丈の長い衣装が抜群に似合っていた。動くたびにワンテンポ遅れて光一くんについてくる布でさえ綺麗だった。

踊る姿を見るたびに光一くんは華のある、より引き立つセンターの踊り方をするなと実感させられた。ど真ん中にいるから、1番目立つ衣装を着ているから…それだけではないものがあって、よく耳にする「帝劇0番」の正体をまざまざと見せつけられた感じがした。

脚を上げるところでは90度にあがり、跳躍の場面での高さも結構な高さだった。フライングで旋回する時や、ターンの時の軸のぶれなさ。顔の付け方。どれくらいの体幹が必要なんだろう。

全ての動きで、手先から足先まで神経が行き届いていることが一目で分かった。そしてこれがどれだけ辛いことか、これを常にやり続けるのにどれだけの稽古が必要なのか…幼い頃クラシックバレエを習っていた頃の記憶がぼんやり蘇った。

さっき見た殺陣でさえもきっと計算され尽くされた動きだったんじゃないか。美しい。何においても、とにかく美しかった。男性をここまで美しいと思ったことはなかった。これを歌いながらやっているだなんて思ったらゾッとした。


見惚れているうちにいつのまにか終わっていた。あっという間にカーテンコール。やっとコウイチではなく私が恋した光一くんの姿が見れたような気がした。…が、何を話していたのかさっぱり覚えていない。その時の私の頭の中はコウイチの方でいっぱいだった。

 

外に出ると辺りは暗く、時間を見てびっくりする。体感は秒だったので、ミュージカルってこんな長いもんか…?と驚いた。明日も仕事だ。早く帰って寝ないといけないという思いとは裏腹に、目はギンギンだった。

すごいものを見た。久々の現場にしてはすごいボリュームだった。数日前まで見れなかったら見れなかったでしょうがないか、と思ってた自分をぶん殴りたかった。全然しょうがなくないわ。本当に見れてよかった。

帰り道、ひたすらSHOCKについて検索をかける。そこで初めて、「Endless SHOCK」と「Endless SHOCK -Eternal-」は別物だということを知り、衝撃を受けた。

え?そうだったの?私が見たのは3年後の世界?…確かになんかそんなようなことをコウイチが話してたかも?プレイバックみたいなシーンも所々あった気がする…。

「Eternal」がついてることに何も疑問に思わなかったのか?と後日友人に聞かれたが、全然疑問に思わなかった。長くやってるし副題くらいつくかな、程度に思っていた。「Eternal」という言葉は飾りみたいなもんじゃないの?いや…「Eternal」って言葉めっちゃ大事じゃん…!

Eternalでもあんだけ凄くて衝撃を受けたのに、本編だとどうなってしまうんだ?という疑問が湧いた。そこでそういえば少ない知識の中にあった、コウイチが2階席に飛んでくる演出がなかったことを思い出した。2階席だったから地味に楽しみにしていたのに。

本編だとあるってことか?私が見たのは完全版ではないのか?まだ見れていない演出、そしてコウイチ目線の話があるってことか?…絶対に本編を見たい。この本編の見たさが、堂本光一さんが自担になったきっかけだった。

 

追い討ちをかけるように、今回「Endless SHOCK -Eternal-」を上演するにあたり「Endless SHOCK」がジャニーズネットで配信があったことを知る。嘘だろ?本編配信あったんか?しかもショウリで?…知らなかった。初めて見る人も多いだろうからっていう光一くんの計らいだった。いや私も初めて見る人でした!!!私のための配信だったじゃん。悔しすぎて半泣きになった。

本編の配信を見れなかった自分の欲を満たす方法をとりあえず探した。検索でヒットした、20周年記念の円盤を買うか死ぬほど悩んだ。…が、先ほど生のSHOCKを見て人生が大きく変わった人間だ。配信もどうせ見れなかったのだ。ここまできたら絶対に本編の初見は生で見るべき、という脳内に住むもう1人の私の忠告を素直に聞き入れた。のちに今でもこの判断は間違ってなかったと思う。

 

検索し続けるとサントラが出てることを知る。サントラありがたい!!!どこにいても何をしていても曲を聴けばすぐにその世界観に浸れるような気がするから、サントラが好き。過去にも映画のサントラを何枚か買ったことがある。迷いもなくすぐに買った。今頼めば明後日には届く。Amazonプライム会員な自分に感謝した。

サントラが届いて、歌詞カードを見た。ミュージカルの音楽って独特だよな、誰がこういうの作ってるんだろう…とクレジットを一通り見るとありとあらゆるところにある「堂本光一」の文字。え…?光一くんって演出・作・構成だけじゃなくて曲も作ってんの…?すごすぎ?どれだけの才能があるの???普通のJ-POPとミュージカルの曲が明らかに違うことくらい、私でもわかる。あの一番耳馴染みがある「CONTINUE」も光一くんが作っていたと知ってびっくりする。ミュージカル音楽って、それこそディズニーソングみたいにいかに耳に残るかみたいなところがあると思うけれど、SHOCKを見たことのない頃から「♪大空が美しい〜」というメロディーは知っていたくらいだった。

光一くんは「愛のかたまり」も作るし「CONTINUE」も作って、「恋涙」も作るし「夜の海」も作るのか?私自身はクリエイティブな才能が0に等しいのもあって、昔から作詞や作曲ができる人への憧れがすごく強かった。そして普段はプロデュースされることの多いアイドルたちが自分の言葉で、または自分が紡ぐ音で作る曲たちは少しその人の本質を見れたような気がして好きだった。ジャニオタになったきっかけも、当時の自担が作った曲にひどく感動したからだ。それと同じ現象が起きた。

 

その日からの通勤のお供はSHOCKのサントラになった。朝の通勤時間が、だいぶドラマチックなものになった。

サントラを死ぬほど聴いて、ジャニーズの公式やレコード会社のYouTubeにアップされていたSHOCKのスポットやダイジェストを繰り返し見た。どれだけ見たいという思いが募っても、頑なにフル映像には手を出さなかった。ここまで来ると意地だった。いつ本編が見られるのかわからないけれど、その想いを支えたのはEternalを見たあの日から日に日に強くなっていった、絶対にこの目で本編を見てやるという気持ちだった。

 

長くなりすぎたのでSHOCK本編を観た話はこちら…

minoriko2.hatenablog.com