堂本光一さんに恋をして失恋をしてKinKi Kidsを応援する話

 

14歳からジャニオタになってからそれなりの時が経つが、ここ最近で初めて自担や自軍がいない時期…つまりジャニオタじゃない期間があった。

初めて好きになったグループは活動を休止した。最近まで好きだったグループはメンバーが減った。減ったのは自担だった。

アイドルじゃなくなった自担の姿は、いつの間にか追えなくなっていた。何かきっかけがあった訳ではなく、突然と。あんなに好きだったのに、アイドルじゃなくなった瞬間にこんな熱が冷めるものかと自分に引いた。結局はグループに属している彼が好きだったのか?本当に私は彼のことが好きだったのか?と疑問にすら思った。

そんなことを考えているうちにその彼から発せられた「永遠はない」という言葉がフラッシュバックし、もう誰かを応援するのはたくさんだと本気で思った。

 

趣味を無くした私はとにかく暇だった。環境の変化もあった。コロナ禍になった。あと結婚をした。大学生の頃、自担が好きすぎて元彼と別れたことがある私にとって、結婚は大きな出来事だった。今となっては恋愛的に好きだったのかはもはやわからないけれど、当時の私からすると「恋」だった。好きに種類があれど、シンプルに元彼より自担のことが好きだったから別れた。クリスマスは彼氏とイルミネーションを見て素敵なディナーを食べて過ごすより、私はナゴヤドームでのコンサートに行きたかった。

今の夫に出会えたのは幸せだし、結婚できたことに喜びはあれど、グループが私の一番好きだった頃から変わらなければ結婚してたか…そもそも恋愛に発展していたかはわからない。オタク友だちには「この推しがいないタイミングだから結婚できたんだよ…」と言われた。何かに落ちるきっかけは、フィーリング・タイミング・ハプニングの3点セットだった。私にとっては自担も推しも恋愛も結婚そうだった。

 

ある日、V6の解散のニュースを見た。ジャニオタじゃなくなったけれど、このニュースの衝撃は大きかった。前好きだったグループはJ-FRIENDSより下の世代だったけど、Jフレは私にとって幼い頃から当たり前にいてくれる存在だった。

Jフレまで変わってしまうなとやるせなさを覚えると同時に、どこか懐かしくもあり携帯を手に取りJフレの動画を見あさった。思えば誰かのことを携帯で調べるのは久しぶりだった。

見ていくうちに、そういえば私はJフレ中ではKinKi Kidsが好きだったなとぼんやり思った。とにかく曲が好きだった。昔からなぜか失恋ソングとかが好きで、キンキの何歌っても暗い感じとか、前向きな曲でもどこか切なさを感じる楽曲たちが魅力的だった。その日はそれ止まりで、そのまま携帯と共に寝落ちした。

 

それから何日か経たないうちに、光一くんのインスタライブ*1を目にした。本当に偶然見れた。そこに映ったのは私が見た史上、いちばんラフな姿で映る光一くんだった。

ハーフアップにはしているけれどそれほどセットされていない髪、すっぴん、黒いTシャツ姿。背景はツアー先のホテル。内容は全然インスタライブのコメント欄をオンにできない光一くん。「コメントオフはあえてですか?」という質問に対し「あえてじゃねーんだよ!やり方わかんねーんだよ!」といたずらっぽく笑う姿に、ノックアウトだった。

 

堂本光一があまりにも彼氏すぎた。

 

顔面のかっこよさと全然インスタを使いこなせない可愛さ、加えて家っぽい背景という親近感まで持ち合わせてきやがった。だって私の知ってる堂本光一さんは生粋のエンターテイナーで王子様で…あれ?「堂本光一」と「彼氏」という言葉は結びつかない言葉じゃなかったか?少なくとも私の人生の中でそうだった。

 

一目惚れの勢いだった。気持ちは止められなくて、もっと堂本光一さんについて知りたくなってすぐさま色々調べた。辿りついたのは、ゲスト出演していた「密会レストラン」*2だった。

当時の彼女がもうちょっとドライブしたかったがために全然車から降りず、「F1始まるからはよ降りろや!」とキレたエピソード。のちにこれが光一くんの古典落語だと知るが、初見の私には結構なエピソードだった。

完全にタイプだった。仕事とか趣味とかより、恋愛の優先順位が高くない人が好きだ。恋愛以外の自分の世界を持ってる人が好き、絶対にその人の世界の中心なれないところが好き。推しを今まで追う人生だったからだろうか。卵が先か鶏が先かもはやわからないが、私は恋愛でも追いかけたかった。思い返せば、夫もアイドル以外で初めて自分から好きだと思えた相手だった。とにかく、愛されるよりも愛したかった。真剣(マジ)で。

好きに拍車がかかってきた。一目惚れをした人が、自分の好みだった。やばいかもしれん、と思った瞬間に飛び出した「俺、最短3年なのよ」の言葉に衝撃を受けた。アイドルから発せられる「最短3年」のワードの強さ。最短で3年ってことはそれ以上もあるってことじゃん?

え?堂本光一と3年以上付き合った女がいる?

別に付き合っている人がいるのは結構。いい歳こいてない訳ないのはわかってる、そこまで夢見てない。ただ、「最短3年」という言葉は、あまりにも余白があったアイドルの恋愛観がかなりリアルになったような感じがした。携帯を閉じ、ただただベッドの上の天井を見つめることしかできなかった。この世には2種類の人間がいて、それは堂本光一さんと3年以上付き合える人間と、付き合えない人間がいる…というのをこれでもかと実感させられる言葉だった。

気持ちも伝えてないのに、勝手に失恋した感覚だった。数時間前に恋に落ちたと思ったばっかりだったのに。自分が結婚してるとか相手がいるとか、そんなのは関係なかった。ただただ、この気持ちを表すには大学生だったあの頃と同じく「恋」という言葉が自分の中で適切だった。

その衝撃は凄くて、思わず違う部屋にいた夫に突撃し何の脈絡もなく「光一くんってさぁ…付き合った期間最短3年なんだって…」と思わず報告してしまうほどだった。これを1人で抱えることができなかった。夫には「何かと思ったら世界一どうでもいい報告きたわ」とあしらわれた。あしらわれてもなお、私は魂が抜けていた。失恋が思ったより自分の中でデカくて、その日から光一くんのことを調べるのをやめた。これ以上好きになってしまったら、自分がとんでもないことになるんじゃないかと思って怖かった。あの1日の感情の起伏は凄まじく、まさにジェットコースター・ロマンスだった。しかもロマンスのジェットコースターからは振り落とされた。

 

5ヶ月後に何かのタイミングで「スワンソング」の大サビの切り抜きを見た。*3 『死にゆく鳥が綺麗な声で 歌うように波が泣いた』という歌詞に合わせて、向き合った2人がお互いに手を伸ばして歌う姿に目が釘付けになった。この振り、すごいなと純粋に思った。誰が見ても正反対な2人なのに、あまりにも誰も介入できないような、2人組の真骨頂を見せつけられた気がした。

『波が泣いた』のところで、一瞬顔を歪めて歌う剛くんが最高にかっこよかった。テレビで見る姿は、わりと表情をそんなに変えず歌うイメージだったから驚いた。

そうだ、光一くんに失恋したせいで私は剛くんにもキンキにも辿り着かなかったんじゃん、とインスタライブを見たあの日のことを思い出した。光一くんだけじゃなくて剛くんもキンキもやばいんじゃないか?と沼の前で足がすくんだ。それ以上踏み込めなかった。

 

ある日、舞台「Endless SHOCK -Eternal-」のチケットが一般発売されてることを知って、すぐに取った。あんなにも沼には踏み込めなかったのに現場へはすぐに出向こうとする自分のフットワークの軽さは、間違いなくオタク人生の中で培われた賜物だった。

5月公演だった。その頃は異動したての仕事の忙しさと家の引っ越しの忙しさにやられていて、そもそも「Endless SHOCK」本編の配信があったことも知らないまま…というか自分が見たのが本編じゃなかったと知るのは観劇後…というめちゃくちゃな状態だったが、まんまとやられた。

あの日恋をしてそして失恋した光一くんに会いに来たはずだったのに、私が目にしたのはコウイチ*4だった。

 

私にとって久々の現場だった。音楽、歌、踊り、芝居、ド派手な演出。久々の現場にしてはボリュームが多すぎるくらいのエンターテインメントがSHOCKには詰まっていた。出演だけじゃなくて、作・構成・演出までしている堂本光一さんが只者ではないということが、数時間でわかってしまった。やっぱり、堂本光一さんはエンターテイナーだった。

ジャニオタじゃない期間は、本当にエンタメから離れていた。SNSも熱心にチェックしなくなったし、音楽も聴かない。とにかくテレビを見ない。特に何不自由なく過ごしてきたつもりだった。エンターテイメントは人生の中で必要不可欠ではないかもしれないけど、それでも私にとっては心の栄養だったことを思い出させてくれた。これを摂取することで間違いなく私の人生が豊かになるな、というか、そうやって今まで生きてきたじゃん私は、と思った。

生のパワーとエネルギーは凄くて、流石に腹を括った。シンプルに逃げられないと本気で思った。その日、自担が光一くんになった。光一くん自担にするということは、剛くんを、そしてKinKi Kidsを同じくらい愛するということを意味した。今までもそうやってオタクをしてきたから。*5

 

この時期にハマれたのは本当にラッキーで、25周年イヤーのテレビ露出祭りに間に合った。特に金スマは、新規が2人の歴史を辿るにはとてもわかりやすく本人たちの言葉もダイレクトに聞けて、このタイミングでの放送に感謝した。番組で引用される言葉も、出典が明記されてることにありがたみを感じながら見ていた。この頃の私は、とにかくネットの情報で見た2人のとんでもない発言たちのソース探しを必死にしていた時だった。*6

金スマと同じに日に「Amazing Love」のMVが解禁されたので、金スマ終わりにすぐさまMVを見たら引くくらい泣けた。(あ、私マジで結構この人たちのこと好きだな…)と思う気持ちと、(ずーっと前から、そして今もKinKi Kidsでいてくれてありがとう)という気持ちが渦巻いた。そして何より大きかった、(私、何も知らんなこの人たちのこと)という気持ちが合わさり、情緒がめちゃくちゃになった。

25年。自分の年齢と変わらない。2人での活動はそれ以上前から。ジャニオタというだけで、他人よりキンキのこと少し知っている気になっていたのがバカみたいに感じた。夫と今までキンキの話なんてしたことなかったが、いざしてみると私より13個年上*7でいわゆるキンキ世代の夫の方がキンキのことを知っていた。

夫が話すAアルバムの曲がわからない。当時のバラエティーやドラマのタイトルさえ知らない。「欲望のレイン」と「Bonnie Butterfly」は知っているのに。*8 

久々にTSUTAYAでCDを借りた。夫が当時買いに行ったと言っていたAアルバムから順番に。この時代にCD読み込んで携帯に同期させて…というクソめんどくさいことをするのは、好きだから以外の何物でもなかった。

 

「Amazing Love」のMVが解禁されてからは、何度も何度も繰り返しこの映像を見た。この頃にはだいぶ剛くんにもやられていた。リボンをファンに見立てた演出で、愛おしそうにリボンにちゅっとする剛くんに度肝を抜かれた。堂本剛さんがこんなにもアイドルだなんて知らなかった。

いろんな映像を見るたびに、歌っていても踊っていても楽器を弾いていても…何をしてても目を引く力が剛くんにはあることをこれでもかというほど感じた。死ぬほど努力をしているのは承知の上でも、天才という言葉がなぜこんなにも似合ってしまうのか。多才が時には十字架になることもあっただろうけど、なんでもできるから、なんでも見たくなってしまうのはオタクのわがままなんだろうかとぼんやり思った。

 

日に日に自分のもっと知りたいという気持ちと熱量は大きくなっていった。この時代にインターネットがあってよかった。2人やキンキのことを知る喜びに満ちて、逐一夫に報告していた。誰かに共有したい衝動が止められなかった。夫からある日、「かわいそうに…俺しか話せる人がいなくて…」と言われた。周りにキンキのオタクはいなくて、本当に夫しか話せる人がいなかった。

この言葉を聞いて、ハッとした。じゃあ周りを引きずり込めばいいんじゃん。私の中で革命が起きた。7月末のオタク友だちとの旅行には、KinKi Kidsのプレゼンを作って持参した。現段階で私の持ち合わせている全ての知識と熱量を注いだ。

プレゼンの表紙には「2人が出会ったのは、広い世界の中で隕石が衝突するくらい運命的」*9という剛くんの言葉を拝借させていただいた。“運命”いう言葉が、こんなに似合う2人はいるのだろうか。オタクはなんでも都合よく運命にしがちだけど、それでも”運命”という言葉以上にぴったりはまる言葉が出てこなかった。

KinKi Kidsの運命度合いはまぁ色んなエピソードがあるだろうけど、やっぱり人に説明する上で一番最初に出てくるであろう「名字が同じ『堂本』である」*10という事実が、最大のパワーを放ってると思う。世の中がもう当たり前のことのような感じになってるけど、キンキのオタクになってから改めて名字が堂本ってすごくない?というターンに何度もなったし、今でも思う。剛くんもよく言うし、本人たちもそのターンに入ってるのも含めて面白い。

あとは誕生日。私は勝手に同い年かと勘違いしてた。ただ、「誕生日が100日違い」というのを知って、本当にぶれないなと思った。運命が。

決死のプレゼン、そして金スマを見せ友だちは見事に沼に落ちてくれた。

 

その友だちと、25周年イベント「24451〜君と僕の声〜」に参加できた。一曲目の「FRIENDS」は、私が生まれた年の歌だった。歴史の長さを感じるたびになんでもっと早く好きにならなかったんだろうと好きになってから何度も思ったけど、むしろ25周年を一緒に祝えて幸せだなとイベントに参加できた喜びがまさって、その気持ちはわりと軽くなった。

まさか自分が音楽活動してる中で最年長のKinKi Kidsにハマるなんて思ってなかった。間違いなく、フィーリング・タイミング・ハプニングがもたらしてくれた結果だった。

そして、永遠はないけれど、懲りたはずの永遠を信じさせる力がKinKi Kidsにはあった。

これに尽きます。

最初は恋(のようなもの)から始まったけれど、あの恋がなければ今KinKi Kidsを応援してないだろうなぁ〜!

KinKi Kidsさんへ、可能な限り最高のビジネスパートナーでいてください。

 

 

 

 

 

 

*1:2021.8.11のもの

*2:NHKトークバラエティ。恥ずかしがらず、恋の話を楽しむ番組らしい

*3:見たのはMコンのものだった

*4:「Endless SHOCK」における光一くんの役名

*5:ぶっちゃけ"寄り"とか"派"とかの独特な文化は今でもよくわからないし、そもそもあんまり自担とも表現しないみたいだけど、私の自担は光一くんです。だけどつよしくんのこともキンキのことも好きです…と私にとって当たり前のことを明言しなきゃいけないキンキ界隈はシンプルにめんどい

*6:新規にとって情報の取捨選択をすることは難しく、Twitterとかで目に入る情報のソースが全然なくて翻弄されている

*7:私はショウリと同い年で主人はタツヤと同い年

*8:Jr.がカバーしがちで知っていた。夫にはその曲は知らんと言われた。そりゃそうだ

*9:2006.12.12 女性自身

*10:しかも日本で4700人くらいしかいないらしい